まんちゅうの語学ブログ

語学学習や気になる話題について綴ります。

国連英検特A級合格記念【二次試験総合評価10点で合格した面接を完全再現】

2021年12月12日に受けた国連英検特A級に合格することが出来ました!!

初受験から3回目でようやく合格できました。二次試験に行けたのは今回が初めてだったので、面接は一発合格を掴むことができ、嬉しく思います。

 

そこで、面接の様子を文字に起こしてみました。

受験を予定している人、国連英検特A級の面接ってどんな感じなんだろうと気になる人参考にして頂ければと思います。 情報共有のため、試験直後にメモを取っているため、かなり具体的に再現出来ていると思います。

目次

1.試験前の様子

2.国連英検特A級2次試験 面接再現

3.終わりに

 

1.試験前の様子

会場の四谷駅には1時間ほど前に到着した。受験前、Twitterで一ノ瀬安先生と会う約束をしていたので、集合時間の14時より少し前に談笑をした。そのまま会場に乗り込む。

エレベータを登って出て右側に受付が見える。特A級とA級で受付が分かれているようだった。当日の試験は集合時間が指定されているため到着後スムーズに受付を済ませることができた。ここで記入していた面接シートを受付で取り出すよう言われる。提出するのかと思いきや、そのまま試験まで持っておくように言われた。

係員の方に誘導され、数歩先の控室に案内される。8畳ほどの控室で待った時間は5分程度で、間もなく声がかかり面接室がある奥のフロアに通してもらう。

部屋の前の廊下には次の面接を待つ受験者が3メートル程の間隔を置いて椅子で待機していた。一番奥の方の部屋で受験を待つ方が誰かと話をしている。

よく見ると、国連英検協会の服部孝彦先生だ。他の受験者の方に話を聞くと、どうやら一番奥にいる人は声をかけてもらえたようだ。羨ましい、と思い余裕もなく、間近に迫った本番を前に、手に緊張の汗をかいていた。

 

2分ほど待機しているとスーツ姿の日本人女性の方が部屋から出てきた。”It’s your turn.”と部屋へ案内してくれた。スタッフの方かと思いそのまま入室すると、女性は左側の席にそのまま着席した。

まさかの面接官であった。色々な試験を受けてきたが、面接官が迎えに来てくれるという展開は予想していなかったので少しびっくりした。わざわざありがたいなと思った。おそらくこちらの方が元国連大使である。

部屋の奥右側には男性の面接官がいた。高身長の若い見た目のカッコいいネイティブの方だった。こちらが国際関係を専門とする大学教授だと思う。

勝手が分からず部屋の真ん中で10秒ほど立ちすくんでしまったが、have a seat. と言われようやく席に着く。この間、印象を良くしようと終始マスク越しではあるが笑顔を保つことを心掛けた。ニヤニヤしてフリーズしてる変なやつだと思われたかもしれないが、あまり気にしないことにしよう。

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さて、ここからは実際にされた質問内容です。

はっきりと言い回しを覚えているものは英語で表記しましたが、それ以外は日本語で表記しています。(当然ですが実際のやり取りは全て英語です、念のため)

 

2.国連英検特A級2次試験 面接再現

日本人面接官

OK, now let’s get started. In your interview sheet, I see you majored in Japanese teaching. So could you tell us a little bit about education?

(ここで私は「教育とは何か」という広いテーマなのか、「国連が教育に関してどのような活動をしているか」を聞いているのか、はたまた「自分の教育についての経験、価値観」を聞かれているのか分からず、

Should I talk about something general about Japanese education or is it just about my personal experiences?と教育一般について聞いてるのか、個人的な経験について話せばいいのか聞き返してしまった。質問が広すぎる!)

日本人面接官

Anything would be ok, don’t worry about it. It’s just a casual question.

(ただの世間話だからなんでもいいよと言われ安心。ただのアイスブレーキングだったようだが、この時点でどれくらいのスピードや流暢さで喋れるのかを試していたのかもしれない。)

Well, I taught Japanese to university students in Kentucky, the U.S., and as a teaching assistant I learned a lot about how motivation drives students to learn better. And through the interaction with my students I realized the pleasure of teaching. After I came back to Japan, I started to teach English to share with Japanese students my personal experiences.

(ここはいつもの自己紹介。アメリカで日本語を教えたのがきっかけで、帰国後教える仕事を始めたと話した。)

日本人面接官

That’s awesome. Now, let me ask you. Which UN organization do you think is most relevant to you?

(ここで本番スタート。気になる国連機関についての質問が来ました。)

Well, I think FAO and UNHCR are most relevant and effective organizations, particularly because these entities are doing utmost efforts to help people in dire needs, such as food, shelter and healthcare units. Oftentimes it takes really long to establish a peace in conflict-affected zones, so the works of FAO and UNHCR are most effective to deal with the immediate needs of refugees and internally displaced persons.

国連食糧農業機関国連難民高等弁務官事務所について話した。理由は、食糧を含む生活必需品の支援を直接行っているからと答えた。)

日本人面接官

I see. You mentioned humanitarian aids and refugees. What do you think of the situation in Myammar.

(難民支援に関心があると答えたのでミャンマー情勢についてここで聞かれる。おそらく国連知識を試す質問。)

Currently, over 900,000 Rohingya muslim are living in a refugee camp in Cox’s Bazar, Bangladesh. UNHCR is currently working to help them by providing basic humanitarian aids. With winter approaching, there will be a severe weather condition. So the international community should ramp up financial support and logistic support.

(90万人以上の市民がバングラデッシュのコックスバザール難民キャンプにいることを指摘。UNHCRの活動について簡潔に述べたつもりだが、ミャンマーの軍事政権の難民対応など、もっと背景知識に触れるべきだったかと反省。質問の仕方も曖昧だったのと、背景知識を話しすぎて質問の意図を理解してないと思われてもいけないため、無難な回答ではあったと思う。ただ、もう少し固有名詞やデータを盛り込みつつ話すべきだった。)

日本人面接官

OK, and what do you think about the situation in Afghanistan?

(アフガン情勢についての質問が出た。ここも当然難民の現状についての質問だと理解し、次のように答えた。)

Well, some 23 million people are in need of humanitarian assistance. The UN security counsel resolution 1988 in 2011 prohibits member states from giving financial aid to terrorists. However, with Taliban de-facto government taking control over a country, there should be reassessment to this resolution.

(ここでは、テロリストへの資金提供の禁止を決定した国連安保理決議第1988号について細かく言及した。タリバンの政権掌握以降、国際通貨基金IMFやその他の国際機関からの財政援助は停止しているが、これにより一般市民の生活もますます困窮しつつある。そのため、人道支援分野においてはこの決議、方針に例外を認めるべきだと強調した。 国連環境開発計画(UNDP)がPeople’s economy fundという中小規模のビジネス支援を始め、現金支給と併せて行っていることにも言及したかったが、やはり本番ではすぐに口から出てこないものだ。)

ネイティブ面接官

Thank you. Let me move on to the next question.

(ここで男性ネイティブ面接官の初質問。)

About climate change, what role can Japan play in order to achieve decabonization?

(話題が完全に切り替わり、環境問題について聞かれる。日本の脱炭素化に向けての対策は事前に調べておいたので、自分が理解できる範囲で意見を述べた。)

Well, the Japanese government is often criticized for not contributing enough to reduce the amount of CO2 emitted from traditional energy sources. But, the geographical conditions compared to European counties have to be taken into consideration. For instance, wind and solar energy can be transmitted through electricity cables between one country and another. Island countries like Japan has a risk of not being able to deal with energy shortage.

Under the circumstances, I think Japan can play a unique role in containing the gas emission by investing in state-of-the-art technologies such as Direct Air Capture, Small modular nuclear reactor, which is less dangerous to deal with. The world’s largest direct air capture facility is to be built in Texas, the US in 2022. So countries heavily dependent on traditional energy resources can play a different role in expediting innovation in energy industry.

(ここでは、ヨーロッパのように太陽光発電風力発電などの非化石燃料を推進することは日本にとっても必要だが、需要と供給の不一致が起きた際の対処が難しい事情があると答えた。ヨーロッパは陸続きの地理的特性のため、電力供給が不足した場合送電線などを通じて他国から一部供給することが可能だが、日本だとそうはいかないという記事を以前読んだのでそれが口から出てきた。

次に、二酸化炭素を空中から直接回収するDirect Air Capture技術の活用など、単純に二酸化炭素排気量を減らす以外の方法で環境問題を解決する試みがなされていることについて話した。また、小型モジュール式原子炉など従来より安全性が改善されると言われている原子力発電の利用可能性についても触れた。)

ネイティブ面接官

原発の再稼働については国民の反対が予測されるがこの問題をクリアする為には何が必要だと思いますか。

(やはりここで原発というキーワードはしっかり捉えられた。)

教育が鍵だと思います。2011年の原発事故以降、原子力発電の活用について国内で多くの反発があったのは事実です。しかし、現在の日本のエネルギー事情を考慮すると、原子力発電効率性や低コストでの運用は依然として有用であり、検討の余地はあると思います。安全性の確保に関しては、国際原子力機関IAEA)のモニタリングなど、国際機関による安全性の裏付けが必要になってくると思います。

(エネルギー分野については勉強不足だったため、あまり専門的な内容に深掘りしないようにした。)

男性面接官

農業分野においてAIなどの最先端技術を用いることに賛成ですか。

(全く違う角度から質問が飛んできた。この質問に対する正直な感想は「知らん!」だったが、なんとか答えた。)

賛成です。国連機関のスタッフメンバーに限りがある中、最先端の技術を活用して農業発展を推進する考えは実用的なものだと思います。

日本人面接官

日本の農業セクターにこれを導入することについてはどう思いますか。

長期的な視点で見れば必要だと思います。しかし、よく言われているようにAIの導入によって雇用の安定性と農業に従事する国民の生活に支障がない形で慎重に議論していく必要があると思います。

ネイティブ面接官

国連はAIなど科学技術の発展に対して何か貢献できることはありますか。

人権擁護や平和推進のためのモニタリング機関として、AIの発展には目を向ける必要があります。例えば昨年、アフガニスタンで民間人が米国軍の誤解によって殺害されるという事故がありました。ドローンによる襲撃や空爆によって、既に死傷者も出ています。近年、UNESCOが中心となってAIの応用利用に関して安全性を確保する為の会議が開催されました。したがって、今後も科学技術の発展が国連加盟各国の市民生活を脅かすことがないように、継続してモニタリングする必要があると思います。

ネイティブ面接官

ロシアのウクライナの対する強硬的な姿勢に対して国連は何ができますか、また日本には何ができるかと思いますか。

まず日本に関しては、地理的な事情から、クリミアで難民が出た場合その人たちを受け入れるのは難しいと思います。したがって、外貨準備金を資源として財政援助を行うことが先進国として必要かつ現実的な対処だと思います。国連に関して言えば、クリミア半島侵攻に関して、既に2014年の時点でロシアの一方的な侵攻と好戦的態度を批判する決議を出しています。したがって、今後も継続して平和を脅かすような行為を批判し、資金凍結などを通じてメッセージを送り続けることが必要だと思います。(ロシアは2021年末時点で6000億ドルほどの資金があるため、EUや西側諸国からの大規模経済制裁があってもそれほど痛手を負うことはないでしょう)

ネイティブ面接官

ありがとうございます。

日本人面接官

最後の質問です。岸田文雄首相は現在、18歳以下の国民に現金10万を給付するとの案を出しています。あなたは賛成しますか。

(最後に全く違う角度から質問が飛んだきたため、笑いそうになってしまった。国内のニュースにも関心があるかを試されているように感じた。)

賛成です。将来世代の借金が増える為反対意見も多いですが、日本は通貨発行券を持ち、預金準備残高も世界でトップクラスのため、デフォルトのリスクが極めて低いです。このことは多くの経済学者、財務省官僚も認めています。確かに、発行権を持つからといって、無作為に現金を配布する政策は社会主義的であるという批判もあります。しかし、コロナ禍で生活に困窮している国民にとっては、短期的であっても生活苦を軽減させることは大きな助けとなります。明日の生活がままならない人達を置き去りにして将来の財政負担を懸念するのはナンセンスと言わざるをえません。したがって、10万円の現金給付に関しては、短期的な目線で見れば私は賛成です。

日本人面接官

最後にご自身が話したいことはありますか。

(やはり最後は用意したトピックを話すようだ。国連知識をアピールするため、面接当日12月12日が「国際中立デー」であることを話そうと考えていた。)

特に中立という概念に強い関心があります。

偶然にも今日、12月12日は国際中立デーとされています。国際政治学者サミュエル•ハンチントンの『文明の衝突』でも指摘されているように、性質の異なる文化が隣り合うと、必ず激しい衝突は起こります。

現代に目を向けると、中国の台湾海峡付近、及び、国際法上違法であると糾弾されているいわゆる九段線(nine dash line)付近での軍事的行動を強めています。米国の覇権国(hegemon)としての求心力が弱まった今、中国は南米諸国、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国とも経済的、外交的紐帯を強めています。また、ロシアについても、ウクライナベラルーシ国境付近で10万を超えるとも言われる数の兵士を派遣しており、国際平和を脅かしています。

このような緊張の中で国連が推進すべきことは、文明衝突を回避し、適切な距離を文化間で確保できるように永世中立地帯を増やす交渉の場を設けることだと思います。緩衝地帯(バッファゾーン)を確保し、不要な対立を避けることで、文化相対主義多文化主義に基づいた価値観を、和平的交渉によって推し進めていくことができると思います。これが、国連が果たせる貴重な役割だと考えています。

日本人面接官

Alright, this is the end of the test. Thank you for coming today, and have a nice day!

(やっと終わった、とほっとした気分になった)

Thank you, I’ve never had such an intellectually intriguing conversation in my whole life. It was definitely worth coming here taking about 5 hours from home.

(ここで最後に山口から5時間かかった、遠くから遥々やってきたんだぞアピールを猛烈にしました。疲れたー。)

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3.終わりに

質問されたことは詰まることなく全て答えられたので、最後は清々しい気持ちで終わることができました。半年以上前から、怖い面接官を想定していたので拍子抜けしました。面接官がフレンドリーで本当に良かったと思います。カジュアルな雰囲気で安心して受けられたと思います。

以上が今回の二次面接の内容になります。試験直後にメモを残しておいたので再現度は高いと思います。まだ書いてない内容があると思い出したら加筆修正していきます。

このメモが次に受験する方々にとって少しでもお役に立てれば幸いです。