まんちゅうの語学ブログ

語学学習や気になる話題について綴ります。

街の活気

11月6日は3週間ぶりに広島に行く日であった。

 先日1年ぶりに福岡に行ってきたせいか、一週間の休みがあるのに結局遠出することもなく自宅で過ごしていた。それもあって、日曜日の仕事のために前乗りで広島に行くことにしたのだった。本通りの街は従来の賑わいを取り戻したかのように人だかりができていた。新しいたい焼きの店も行列をなしていた。

 

 多くの人が共感してくれるのだが、2019年3月頃から怒涛の勢いで人生が進んでいる感覚がある。年齢を重ねれば毎年時間の経過が早くなる感覚をジャネーの法則という。

しかし、コロナ禍による不思議な時空体験のせいもあり、果たして年を重ねたから時間が足早に去っていくのか定かではない。

 

 「街が活気を取り戻した」と個人的に最も感じた瞬間は、2年前クリスマスライブを決行したParis Miki(眼鏡屋)の前での一幕であった。

 この店は、店頭にピアノが置いてあり、通りすがる者が自由に弾いていいというルールになっている。眼鏡屋という響きからすると異様にオシャレなシステムである。そこに2人組の若い男性が腰をかける。

 

 やおら鍵盤に指を置く男性は、柔らかなタッチで曲を弾き始める。優しい旋律に懐かしさがこみ上げる。Easyという曲だ。

Easy - YouTube

 

 曲を弾き終えるとすぐ近くで演奏を聴いていた私は彼らに話しかけた。米軍岩国基地から来た青年2人ということが分かった。広島には米軍基地や市内に住むALTや語学学校の英語教師が集まるバーがある。International barと呼ぶことが多いこれらのバーで、私はよく飛び込みライブを行っていた。

 

 "Are you traveling around?"私は初対面の非日本語母語話者にはよくこう声をかける。"Where are you from?"は、色々な問題提起を含む問いかけだと、私は思う。親友に、広東省に生まれ、メキシコで幼少期を過ごし、その後イスラエルの高校を出てアメリカに移住した、父親がポルトガル出身という人間がいる。生まれた場所と国籍と日常的に使う言葉が「しっくり」来るというのは、意外と少ないのかもしれない。

 

 実を言うと、彼らが旅行客でないことは経験上分かっていた。バックパックを背負わず、カジュアルな格好で歩いていると、近くに住んでるのかと察しが付くようになっていた。

 

広島は面白い街だ。英語話者を探すと必ず共通の知り合いがいる、ということがある。インターナショナルバーの常連客の名前を出せばすぐに打ち解ける、こういう経験に不思議な縁を感じて、私は嬉しくなるのである。

 

 街行く人は、大抵自分とは無関係な他人だという感覚が、どこかにある。ところが、話をしてみると、共通の友人がいたり、同じ興味関心を持っていたり、初めて話す人達でも、心の繋がる瞬間はある。これが街に出る、人に遭うことの面白さだと思う。

 

 10分ほどの他愛のない会話を終えて、帰路に就く。夜はホテルの1室からtwitter上のspaceで霊魂についてというテーマで話をした。2時間ほどの会だったがこの日も、脱線が脱線を生み、興味深い話題が盛りだくさんだった。詳細はまた別の記事にして気が向いたら書きたいなと思う。よい土曜日の一日だった。